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【2002 8月号 No.43】
 
岐阜県石徹白川発!
 〜C&R区間と釣り場の運営維持〜
 実釣視察!

報告 矢野眞弘 


 石徹白川といっても、一体どこにある川なのか?と疑問に思う方も多いだろう。
 簡単に説明すると、サクラマスで有名な九頭龍川の最上流部、福井県境を越えた岐阜県白鳥町に位置している。水源を白山国立公園内の銚子ヶ峰(1810m)に持ち、九頭龍ダム下に注ぐ、総流程20数キロ、同水系最大級の支流である。
 ただし支流とはいえ、その流程は本流の九頭龍川以上に長く、昔から大アマゴ、イワナの釣れる川として、多くの渓流ファンを集めている。最近では、東海北陸道の開通や福井県側からの道路も整備され、アクセスが非常に楽になった。そのため、入渓者の数も多くなり、かつてのような心踊らされる大型魚には巡り合いにくくなった。とはいえ、白山連山から供給される豊富な水がいくつもの淵を形成し、多くの渓流魚を育んでおり、現在も魅力に満ちた川であることに変わりはない。

  C&R区間探訪

 当河川を管轄する石徹白川漁協は、在来渓魚の保護・育成に力を入れており、フィ−ルドの管理が徹底されていることで知られる。その一環として、2000年8月より地元アングラーの意見を取り入れながら、禁漁区だった支流・峠川の一部を解禁して、C&R区間と設定した。
 区間は2002年度から下流部分が延長され、石徹白川の合流点から峠川上流の一ノ瀬谷出合いまでの3.2キロ区間となっている。石徹白川合流点からスキー場までの区間は、比較的開けた里川風景が広がる。さらにスイゴ谷から上流は、山岳渓流を彷彿とさせる落差のある渓相が展開するなど、変化に富んだ水域の区間設定も大きな魅力となっている。
 我々が石徹白川を訪れたのは6月初旬。梅雨入り前の好天に恵まれ、真夏日を思わせる暑さとなった。また当日は「石徹白 Fisher's Holiday」が開催され、当エリアおいてテンカラ釣りの推進をしている愛知工業大学の石垣尚男教授からのお誘いもあり、山梨県小菅川C&R区間の立役者・小菅漁協の舩木学理事、さらにテンカラの堀江渓愚氏と現地でおち合い、イベントを見学させていただくこととなった。
 所用があり我々は福井県側より国道158号線を上流に向かった。九頭龍ダムの手前を左折して石徹白川ダムを過ぎると、石徹白川の下流域が眼下に広がる。
 するとやはり人気河川だけあって、主だったポイントにはエサ釣り竿が乱立している。しかしよく見てみると、その中にフライフィッシャーマンが混じっているのに気づく。その数は上流に行くにしたがって増え、C&R区間の最下流部付近では何人ものフライフィッシャーマンがロッドを振っていた。
 それにしても凄い数のフライフィッシャーマンであるが、その理由はすぐに判明した。イベント会場であるスキー場広場には、地元ボランティアの露店の他、当区間をバックアップしているフライを中心としたメ−カ−、ショップ関連の展示テントが会場一杯に立ち並んでいたからだ。
 イベントの内容も充実しており、佐藤成史氏、杉坂隆久氏などのトップフライフィッシャーマンをゲストに迎えての「日本におけるC&R最新情報」やFF談義には、多くのアングラ−が耳を傾けていた。また、テンカラにおいては「巨匠対談」と題し、石垣尚男氏、榊原正巳氏、堀江渓愚氏による面白トークが会場を大いに沸かせた。
 私もこれまで、小菅川のC&R区間のバックアップをさせていただいているが、このイベント規模の大きさには、只々驚くばかり。さらに、地元のサポ−トも徹底しており、村を挙げての祭りの様相であった。
 夜の座談会においては、堀江氏、舩木理事による小菅川C&R区間の成功例、佐藤氏の群馬県における現状報告の他、C&R区間についての多くの意見交換がなされた。
 中でも注目されたのが、C&R区間における魚の持ち帰り問題である。小菅川の現状をいえば、一部のエサ釣り師が監視員の入渓前にC&Rで釣りをして魚を持ち帰ってしまう。彼らの良識を信じて、注意をするなどの改善策をとっているものの、こうした行為は常習化の傾向にあり、関係者の頭を悩ませている。石徹白川においても同様の被害が報告され、2002年度からはC&R区間におけるエサ釣りの禁止措置がとられてしまった。
 一部の心ない釣り人のために、ジャンルによる差別化をせざるを得ない状況…。なんともいえず残念な気がしてならない。

  豊富なストックと大型魚を育む流れ

 前日の余韻も覚めやらぬ翌朝、C&R区間の第一堰堤下から入渓した。前日の下流部での実釣では、多くのアングラーに攻めたてられた魚たちはハイプレッシャー状態にあった。そこで、ポジションを普段より遠めに取り、キャストを開始した。
 一投目から岩陰からアタックしてきたのは、23cmほどのコンディションのよいイワナ。気をよくして数メ−トル下の早瀬を狙ってみると、これまたヒレのほぼ回復したアマゴがヒットした。前日の夜半に降った雨の影響か、思わぬ高活性に恵まれ、ポイントごとに何尾ものチェイスが確認できた。
 そして、本命ポイントともいうべき大淵では、この日最大の30cmを優に超えるアマゴに出合えた。ところが関係者によれば、30cmを超えるアマゴの成魚は、ほとんど放流されていないという。越冬して大型化したと思われる見事な渓魚、そしてキャパシティーのある本エリアには深い感動を覚えた。
 ここで支流・峠川を後にし、我々は、石徹白川の本流エリアへと向かった。ここはC&R区間からは外れるものの、魚影は決して薄くない。事実、前日に入渓した下流域では、プレッシャーが高いものの、相当数のアタックが得られた。これも上流のC&R区間が、魚のストック機能を果たしているからであろう。
 そして、石徹白川最大ともいわれる大堰堤下に入渓した。ところが、夏日と渇水のせいか、C&R区間と比べるとアタック数は少なかった。それでも、時折見られるヒレピンイワナのチェイスに、時間を忘れて楽しむことができた。

  成魚放流に頼らない釣り場維持

 石徹白川では小菅川と同様、禁漁後のC&R区間における渓流魚の産卵床の調査が行われている。「在来渓魚を殖やす会」の報告によれば、区間設定前には2〜3ヵ所だった産卵床は、設定後の2000年度は15ヵ所、2001年度は25ヵ所と、年々増加傾向にある。
 この結果を受けた漁協は、今年度の試みとして、成魚放流に頼らない釣り場の維持を目的に、第一堰堤上流部を自然再生産にまかせ、維持が困難な場合のみ発眼卵放流や稚魚放流で補填するという運営方針を掲げている。また、枝沢の禁漁区化案など、河川のゾーンニングを意識した釣り場管理への意欲がうかがえる。
 また、石徹白川のC&R区間は小菅川よりも歴史は浅いが、本エリアをサポートしているボランティアの数は相当なものだと聞く。エリアの運営には漁協だけでなく、サポートメンバーとの協力が不可欠なことを再認識されられる。さらに、地元の観光組合と協同でのイベント運営など、見習うべき点も数多く見られた。

  アングラーによる釣り場運営のサポートを

 最後に気づいた点をもうひとつ。今回の視察では、会場やフィールドでルアーマンと行き交う機会がほとんどなかった。出展メ−カ−やショップの中でも、ルア−を扱ったものはごくわずか。河川の推進事業において、私を含めたルアー部門が出遅れていることを改めて痛感した。私自身もこれを機に、当エリアの運営推進に少しでもお役に立てるよう協力していきたいと思う。さらには、一人でも多くのルアーアングラーが協力参加していただけることを切に希望するところである。
 そのためにもまずは、ぜひとも石徹白川に足を運んでいただきたい。そしてC&R区間の現状に触れ、区間の上・下流部でヒレピンの渓魚や元気な稚魚を実際に見れば、また違った感動が沸き起こってくるはずだ。
 石徹白川では、本年度も禁漁後の産卵床調査が行われる。こうしたイベントなどにも参加して、シーズンを通して川とつき合うことができれば、川に対する思いやりがさらに深まってくる、と私は信じている。
 ほとんどの河川釣り場は、一人ひとりのアングラーの意識如何によって、繁栄もすれば衰退もする、そんな時代なのかもしれない。それだけに、各アングラーがジャンルを問わず協力しあい、自分たちの釣り場の運営サポートすることが必要であると思う。「渓流が好き」という気持ちはだれでも同じなのだから。
【参考資料】
「在来渓魚を殖やす会」1999〜2001年 産卵床調査報告

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【石徹白川データ】
●遊漁期間:3月1日〜9月30日
●遊漁料:日釣り券 1000円 年券 4500円
●管轄漁協:石徹白川漁業協同組合
  TEL 0575-86-3001

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