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【2002 6月号 No.41】
 岐阜県飛騨川発!
 〜漁協組合員、そしてアングラーとして…〜
 飛騨川水系LFフィールド誕生秘話

報告 馬場由知 


  LF解禁の呼び水となった「黒川アマゴ釣り大会」

 岐阜県を縦断するように国道41号線と平行して流れる飛騨川。上流部はアユ釣り場として有名な益田川と呼ばれており、金山町より下流域が飛騨川と称されている。
 その昔、飛騨地方で切り出された材木をこの川に流し、加茂郡川辺町付近で筏にまとめられ、それらを伊勢湾まで運んだという。また地域住民にとってもこの川は、生活・産業面において重要な役割を担っていた。しかし、水域に数多くの発電用ダムが作られた現在では、こうした昔の流れを見ることはできなっている。
 そんな飛騨川水系が今あらたなトラウトフィールドとして注目を集めている。以前から各支流でのアマゴ、イワナのエサ釣りやアユの友釣りが盛んであったが、3年前より本流・支流を含めてルアーフィッシングが全面解禁となってからは、近郊からのアングラーで賑わいを見せるようになってきた。
 一方、本流域ではシラメや陸封型のサツキマス(戻りアマゴ)などが確認されており、こちらも新たなフィールドとして期待されている。しかし現状では、入川が困難なことと、まだポイントが開拓されていないことなどからか、釣りの舞台となるのはもっぱら支流の黒川、白川(加子母川)のようだ。これらの支流域では近年、飛騨川産のアマゴ・イワナの成魚放流にも力を入れており、2月1日の解禁から多くの釣り人が訪れている。
 さてこの飛騨川水系の黒川で、去る3月31日、今年で13回目となる「黒川アマゴ釣り大会」が開催された。「夢の尺アマゴに挑戦」と銘打ったこの釣り大会。そのネーミング通り、毎年大型のアマゴが数多く放流されることで話題を集めているが、同時に飛騨川水系でのルアーフィッシング解禁に大いに貢献してきたのも事実である。
 この大会は漁協とは別の大会実行委員会で運営されており、地域活性化を見据えながら漁協と足並みを揃える形で行われている。本大会内でルアー専用区が設置されたのは今から4年前のこと。漁協への交渉により、本大会中だけとの条件付きでルアーの使用が許可されたのは、まだ飛騨川漁協管内でのルアーフィッシングが解禁される前のことであった。これが当漁協管内で初めてルアーが投じられた経緯である。そしてその翌年からは、大会実行委員会の方と漁協の話し合いにより、管内全域でのルアーフィッシングが解禁されることになったのである。

  地産アマゴの保護育成に向けての取り組み

 もともとは地元の有志で始められたこの大会も、現在では、参加者の数も予約だけで350人を超す盛況ぶりを見せている。
 今年も大会の前日から、大会実行委員会を中心に多くのボランティアの方々が準備に追われていた。あいにく2日前の大雨の影響で川は増水ぎみで、当初前日の午後1時に予定されていた放流も、大会当日にずれ込むのではないかと懸念された。それでも午後3時には何とか減水傾向に向かい、役員の皆さんと地元の子供たちによって無事放流が行われた。
 放流に参加した子供たちには、本大会への優待券が配られた。これは近年、外で遊ばなくなってきた子供たちに自然と触れ合うことの楽しさや釣りの楽しさを知ってもらおうという、大会実行委員会からのはからいでもある。
 放流されたアマゴを見て驚いたのは、何といってもその美しさである。一見すると養殖物とは思えないほどのヒレピンで、パーマークもはっきりしている。
 地元黒川で養殖業を営む、本大会実行委員の纐纈さんによれば「養殖池全体を円形にし、池底と壁全体に張られたビニールのおかげで魚体を傷つけずに成長させることができる」という。その徹底した管理には驚くばかりだ。さらに来年以降は「パーマークの出やすいアマゴの飼育」などにも取り組むなど、飛騨川の在来種保護・育成に尽力してゆく姿勢だ。

  漁協組合員、そしてアングラーとしてできること

 大会当日は、当日受付者を含め400人もの釣り人が会場につめかけた。しかし、エサ釣りでの参加者に比べるとルアー・フライは圧倒的に少なく、その割合は9対1くらいであった。今回はエリア内にルアー専用区が設けられた。ただし、これは実質上の完全な区分けではなく、大多数を占めるエサ釣りとのトラブルを極力避けるための配慮のようだ。
 確かにこういった釣り大会では、設定区間に大勢の人が押し寄せるため、トラブルは避けられない。ここでは少数派のルアーアングラーにはちょっと肩身が狭いが、現状ではいた仕方ないのかもしれない。
 しかし主催者側もそういった状況を打開すべく、ルアー・フライの扱い方を模索しており、今後はさらに完全な釣法別の区分けを検討していくとのことなので、これからに期待したいところだ。その他、夏休みなどを利用し、子供たちを対象としたルアー・フライ教室など積極的な活動を行っていく予定だという。
 ただし、こういった企画はあくまで地元有志の方々による試みであり、残念ながら漁協全体が行っている活動ではない。時代のニーズに合わせた釣り場作りには、漁協とアングラーの意思の疎通なくしてはありえないと思う。漁協組合員としての私にとって、その橋渡し役としての活動が目下の課題である。
 今現在、飛騨川漁協管内ではC&R区間やルアー・フライ専用区の設定はされてはいない。というよりも、そのレベルまで到達していないというのが実情である。元来アユ釣りがメインのフィールドであるため、まずはその確執を解消しなければならない。当然、組合員への説得も必要であり、課題は山積している。
 ただ一方で、果たしてこうした専用区間を早急に設定する必要があるのだろうか? とも考える。むしろ今回の大会のように、あらゆるジャンルの釣り人がお互いを認め合いながら一緒に釣りを楽しめる機会を通して、ひとり一人の意識を高めていくことが大切ではないか、と私は思う。
 今回同行して下さった飛騨川漁協組合員の安江さんも、同じような意見をお持ちのようだ。
 さらに、今後も活動に協力していただけるとの心強いコメントをいただけた。

 個人の力というのは微力である。したがって、釣り場環境の改善を目指していく上で、情報交換ができる仲間や協力者を持つことは必要不可欠である。私自身、組合員とアングラーとの板ばさみ状態で、辛い立場に立たされることも少なくない。組合員としては賛成だがアングラーとしては反対ということも多々あり、むしろ試行錯誤の連続である。
 幸いよき協力者に恵まれている私にとって、まずは自分のできる範囲のことから実行していくことが必要だと考えている。そして、後世に自信を持って託すことのできるフィールドづくりに、私もいち漁協組合員、そしていちアングラーとして協力していきたいと思っている。
 余談になるが最後にひとつ。
 本大会では、本誌でもお馴染みのドリームウイル・アドバイザリープロスタッフの矢野眞弘氏に34cmのアマゴが出た。検量時には暫定2位の高位置につけていたものの、最終結果では惜しくも7位。残念ながら6位入賞は果たすことができなかった。上位4名の記録がいずれも39cm以上と、話題通りの大物ラッシュに沸いた大会であった。
 なお、大会結果は以下の通り。

【一般の部】
1位 伊藤繁雄  41cm
2位 伊藤正利 39.8cm
3位 筒井 勇 39.4cm
4位 秋田啓行  39cm
5位 北原 実  37cm
6位 朝原昭男 36.5cm
(敬称略)
【ジュニアの部】
後藤秀志  38cm
一条 瞭 36.4cm
細江俊介 36.4cm
(敬称略)
【レディースの部】
平田香千代 29cm
杉本早苗 28.2cm
朝比奈富子 27cm
(敬称略)

data
【飛騨川水系】
●遊漁期間:2月1日〜9月30日
●遊漁料:日釣り1000円
 年券5000円
●管轄漁協:飛騨川漁業協同組合
 TEL. 05747-2-1029 

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