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【2002 6月号 No.41】
 埼玉県荒川発!
 〜新たなトラウトフィールドへの第一歩〜
  秩父荒川C&R区間の現状と課題について

報告 白石健一 


  予想に反し、少ない人出となった解禁日

 荒川水系では毎年3月1日を解禁日としている。C&R区間も本来であればこれに沿うはずであったが、放流の都合から翌2日土曜日からのスタートとなった。
 私の本エリアへの初釣行は、解禁2日目の日曜日。さぞ混み合っているものと覚悟して川に着くと、思いのほか釣り人が少ないのには少々驚いた。主な放流ポイントは浦山川の合流地点と、下流の柳大橋の上下流と聞いていた。さしあたり、柳大橋下流のポイントに行ってみたところ、釣り人も魚もほとんど見受けられない。全般に浅い流れなので、ライズがあればドライフライにも反応しやすいだろうが、そうした状況でもなさそうだ。また、この付近は荒川特有の岩盤帯が続き、魚の着けそうな場所が少ないことも気に掛かる。
 次に移動した柳大橋上流のポイントでは、かなりの魚影を確認することができた。しかし、ここでもライズはほとんど見ることができず、ドライフライを期待したフライマンは、少々あてが外れたようだ。その反面、ルアーでの反応はかなりよく、コンスタントにヒットが見られたが、魚が限られた場所に集中しているため、まんべんなく釣れる状態とまではいかない。
 一番上流の放流ポイントとなる浦山川の合流地点は、かなり水深があり、ライズのない状況ではドライフライでは非常に攻略しにくい。そのためか、フライマンはほとんど見当たらず、ルアーマンの姿が目立った。日曜日ということもあり、この日はポイントを眺める程度で早めに引き上げることにした。それでも帰り際の、ほんの5分ほどの間に流したウエットに2尾のヤマメがヒットするなど、初日から好感触を得た。

  2日後に本格チャレンジ、ターン&リトリーブで連続ヒット

  川の解禁初期の水温は通常6〜7℃である。放流されたヤマメは漁協の養殖池で飼育されており、こちらでは湧水を利用している関係から、この水温は常時12〜13℃に保たれている。よって、放流直後の魚は急激に落ちた水温のため、一時的に活性低下を起こしたようだ。
 2日後の3月5日に再度、本エリアを訪れてみた。ところがいずれの魚も底付近に定位し、ライズはおろか上を見ようとさえしない状況。水中に見える魚も一ヵ所に集まり、活発な動きはしていない。透明度が高いため、流れの緩やかな所では、水中の様子もよく分かる。そこではサイトフィッシングよろしく、魚が目の前に流し込んだフライをパクリとくわえるのが見える。そのままアワセれば釣れるのだが、緩やかな流れではフライを見切るのにそう長い時間はかからない。仮にそのまま釣れ続けても、釣りとして味気ない。
 そこで、早々にサイトフィッシングに見切りをつけ、小さめのウエットとストリーマーでトライすることにした。水深を考えフローティングラインを選び、ナチュラルに流して様子をみる。その間にアタリがなければ、ターンからリトリーブにつないでいく。解禁に合わせて300キロのヤマメを放流しているため、魚影はすこぶる濃い。
ルアーにはややスレ出した感じがしないでもないが、ウエット系には素直に反応してくる。フローティングラインでも、フライを沈めることができれば簡単にヒットする。ただ、フローティングの場合では、どうしても最後のリトリーブでフライが浮きやすくなってしまうのが欠点。それでもヤル気のある魚は、水面までフライを追い食いするものもいる。
 それでも、釣り始めた頃はほとんど毎回のように追いのあったヤマメも、少しずつ反応が鈍り始めた。そこで、フライをさらに沈めるべく、フローティングライン&シンキングリーダーやシンキングラインを使い、少し下のタナを攻略する。するとこれまた簡単に釣れてしまう。スレていない上に、多少水温にも馴れたのか、リトリーブでの追いには、目を見張るものがあった。本来は大川などで大型魚を釣る時に多用するメソッドだが、ライズのない状況での対処法としても役に立つ。ただ気になるのは、釣れるポイントがかなり限定されることである。前述の通り、岩盤のナメ床や、魚が居着く底石などが乏しい流れも多く、区間が充分に活かされていないのが実状のようだ。
 解禁当初には少なかった釣り人も、ここ最近ではかなり増加傾向にあり、週末では思うようにポイント移動ができない状態になりつつある。空いているポイントは沢山あるのだが、そうした場所には当然のように魚もいない。渇水による水の少なさも、魚の移動を制限している大きな要因となっている。逆に大雨による増水では、魚が残れるのか心配だ、との声もある。また障害物の少ない流れは、鵜による食害の懸念もある。
 3月10日の追加放流では、50キロのヤマメが追加され、ライズもかなり多く見られるようになった。この時点で#16サイズのドライフライで問題なく釣れるようになっていた。この原稿を書いている3月19日の時点では、水温も10℃を超え、ライズの数もかなり増え出している。放流されたヤマメも水に馴染むにつれ、少しずつ瀬などの流れの中に分散する傾向にある。今後は隔週で少しずつ追加の放流を行う予定となっているので、さらに期待が持てそうだ。

  今後の課題と総括

 かくして、スタートとなった荒川のC&R区間だが、まだまだ問題点も少なくない。
 まずレギュレーションにおいては、シングルフック及びバーブレスが義務づけられているものの、まだまだ徹底されておらず、中には絶望的な状態でのリリースも見受けられる。また、区間中でのエサ釣りによる確信犯の出没の報告がされているという。
 さらに、本区間を管轄する秩父漁協の斉藤組合長によれば、古くからの組合員の中にはC&Rに対する反対意見も根強く残っており、何かと風当たりが強いそうである。
旧態依然としたカラーの中、革新派は何かにつけて矢面に立たされるのは、どこも共通の悩みなのかもしれない。そうした反対意見に対して、発言力を持つには、何より結果を出す以外にない。今回の実施を足掛かりにそれなりの成果が出せれば、将来的に区間拡張もあり得る。逆に成果が上がらないようであれば、振り出しに戻る可能性も大きいという。とくに水温の上がる夏場や、アユ解禁後の競合など、蓋を開けてみなければ分からない問題も相当ある。
 さらに放流魚についても、ひと目見てサクラマス系の魚と分かるものが中心で、荒川の在来種とは明らかな違いが見られる。本来は、地元産の種苗を放流するべきだろう。
 さらにつけ加えるなら、現在中津川に建設中の滝沢ダムが完成した場合、水域にどのような影響を及ぼすのだろうか? 水量や水温の問題なども大いに気にかかるところだが、実際に影響が出た場合の対応策など課題は尽きそうにない。
 そうした問題も含め、今シーズンをテストケースとし、今後の展開を煮詰めていくことになりそうだ。いずれにせよ、保守的だった秩父漁協が、新たな取り組みとして第一歩を踏み出したことは大きな前進といえる。そうした背景にはC&R区間の設定に、建設的に取り組んだ新世代の組合員と、何より昨年から組合長となられた、斉藤英次さんの英断によるところが大きい。スタートしたばかりのC&R区間であるが、将来的にさらによりよい方向に向かうよう、いち釣り人としても大いに期待したい。
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【秩父荒川 C&R 区間】
●遊漁期間:3月1日〜9月30日
●遊漁料:日釣り券1600円、年券8400円
●対象区間:影森地区・浦山川合流点上流の久那橋〜 
 下流の巴川橋までの約2km
●対象釣法:ルアー・フライ・テンカラ
●管轄漁協:秩父漁業協同組合 Tel. 0494-22-0460

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